治療をしなかった20歳の愛猫の最期|虹子さん

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

虹子さんからお手紙いただきました

お手紙ありがとう

差出人: 虹子
題名: 治療をしなかった20歳の愛猫の最期

メッセージ本文:
はじめましてにゃあこ様

3年前初めて愛する老猫を看取った後
寂しさと混乱でネットをさまよっていた時にゃあこさんのブログに出会い
以来いつも拝見させて頂いてきました。

今では新しい猫さんをお迎えしましたが
最愛のあの子の看取りについて考えない日は1日もなく
色々な事を考えて過ごして来ました。
いつかにゃあこさんにお便りしたいと思いつつ…。

今回ようやくお便り出来たきっかけはベリーさんのお手紙を読んだからです。
病院へは行かず死因が何なのか分からなかったお別れについて
猫らしく天寿を全うされたと仰っていて、
とても共感出来て嬉しくて、そんな言葉を待っていたからです。

我が家の老猫ムーちゃんは20歳8ヶ月で安らかに旅立ちました。(保護猫の女の子です)
14歳の頃に慢性腎臓病の初期だと診断されました。
治る病気ではない事。投薬と療法食が必要だと聞かされましたが
初期だったこともあり即治療を開始することはしませんでした。

仔猫の頃からよく吐き戻す子だったので
飼い主の私が鈍感になっていたのかもしれませんが
心配しつつも17歳ぐらいまでは活発に過ごし
高齢になってからの投薬を迷う様になっていました。

18歳ごろには夜大声で鳴く様になり老いを感じるように…。
獣医師にはもうあまり目が見えていないと言われ、
その後私の不注意で柱に顔をぶつけて犬歯が片方折れてしまいました。

幸い歯茎を傷つける事はなく化膿も無かった上に
歯石がついて歯茎も赤くなっていた歯が1本無くなったせいか食欲が出て少し元気になりました。


(元気に見えていたのは甲状腺の病気だったからかもしれないのですね)
この時獣医師からはオシッコが出なくなったら危ないよと言われたのですが
「高齢猫にはお薬も肝臓などの負担になる可能性がある」と言われて
必要最小限の化膿止めだけ頂いて帰りました。

19歳の秋には大声で鳴く事も無くなって寝てばかりになりました。
一度食欲を無くした時には病院へ行くか悩みましたが復活。


この頃には病院へは行かず看取りたいと思う様になっていました。

こんなに長く一緒にいてくれた子に感謝しかなく
高齢になってから嫌な事はせず猫らしく見送りたいと言う気持ちでした。
眠っている愛猫を「おまえは強い子だね」と言って撫でては
「ずっと一緒にいてくれてありがとう」「長生きしてね」「愛してるよ」と毎日伝えました。

栄養的に正しいか分かりませんが
歯が折れてしまったしフードを舐め取る舌の力も弱くなっている感じだったので、
茹でた鶏肉とスープをフードプロセッサーでペースト状にしたモノを
総合栄養食のフードに混ぜ
柔らかく練ってダンゴ状にして主食として与えました。
鶏肉が好きだったので飽きずにたくさん食べてくれました。

それからはにゃあこ様のブログで老衰について書かれている経緯通りです。
20歳を越えた秋ごろから便秘気味になり痩せて歩き方がフラフラし始め
オシッコの量も更に増えて吐き戻す事も増えました。


本来なら痛みや苦しみを取り除いてやりたいと思うのが飼い主だと思うのですが、
私は「美味しいモノを食べて安心して眠れるのが猫が望む幸せだろう」
という気持ちにしかなりませんでした。

食が細る前までは人間の食べ物を欲しがっても与えませんでしたが
食べたがる時に一緒に食べる事にしました。
鶏肉や魚の薄味の料理を猫用にお湯で洗って食卓の脇で与えました。

歳を越して2月20日に旅立つのですが、
家族の食卓の横にお行儀よく座って準備が整うの待ち構え、
水炊きの鶏肉や魚、お刺身や生クリーム、
クリスマス年末年始と色々な好物を一緒に食べました。

1月の半ばにはもう興味をなくしていた猫じゃらしで遊んだり
柱で爪とぎをして見せたり久しぶりに大声で鳴いて
寝坊している私を起こしに来てくれました。
まだまだ長生きしてくれると家族と喜び
数か月分のフードを通販でまとめ買いしました。

最高のエンジェルタイムでした。

また食欲が落ち始めたのは2月に入ってからです。
今度のは今までとは違うとハッキリ分かりました。


居間のソファーで深く眠って声を掛けてもすぐに反応しなくなり、
それでも起きている時は頭だけ起こして家族の声を聞いているようでした。
じっと私を見てゆっくり瞬きするので私も返しました。

手足の関節も固くなりヨロヨロしながらも自分の足で階段を昇り降りして、
水ばかり飲んでほんの少ししかご飯を食べなくなって、
チュールも食べなくなって大好物の生クリームにも反応しなくなって…。


オシッコで水分が出てしまうせいでウンチがコロコロになって苦しそうでした。
この状態で無理に食べさせたらウンチが出なくてもっと苦しいのでは?

ならば点滴をして食べさせてウンチをかき出して…
でもそれはこの子は望まないだろうと強制給餌もしませんでした。

食べてくれなくなった日の翌日。
水を飲みに行っても飲めない姿を見て獣医に連れて行きました。旅立つ前日でした。
ここまでお別れを覚悟してきたのに支離滅裂「もしかして…」と思ってしまうんですね…。
点滴は脱水が進んで皮下にほんの少ししか入らず痛い思いをさせただけでした。

その日の夜は居間の猫のトイレの横に布団を敷いて一緒に寝ました。
獣医師には温かくしてやるように言われましたが
寒いところに行きたがったので私も一緒に寒いところで寝ました。


朝には緩いウンチが出て病院から帰った夜にはほんの少しの点滴の水分が出たのか
色の濃いオシッコが少し出て
おそらく食道に残っていた痰のようになったチュールを吐き出し
それからは横たわったままになりました。

夜が明けて亡くなるその日は
前日までの爆弾低気圧の大荒れの寒さが嘘のような快晴で
私も仕事を休ませてもらい2人でポカポカ陽がさすソファーでずっと一緒に過ごしました。

朝牛乳たっぷりのいつものインスタントコーヒーを入れてきて
横に座って湯気をフーっと吹いてやったら、横たわっていた愛猫が身体を起こして
コーヒーカップに顔を近づけて匂いを嗅いだので驚きました。


私がコーヒーを入れてくると匂いを嗅ぎに来るのが仔猫の頃からの習慣で
今までと同じ様に胸いっぱいに匂いを吸い込んだので気分は悪くないんだな…と思いました。

それから1日一緒に楽しかった話をして撫でながら過ごしました。
朝にはオデコを撫でると目を細めてくれていた子が
昼ごろにはもう目も半開きのまま無反応でした。

そんな状態の愛猫が不意にゴソゴソと動いて寝姿勢を変えたのは夕方です。驚きました。
それからコの字で横になった寝姿勢で
手足を前にググググ~と突き出して全身に力を入れてフーっと脱力する
眠っていた猫が起きる前にするあの仕草をしました。

私に呼ばれて見に来た認知症の母が
「なんや起きるんか?もう寝てるの疲れたなぁ」と言ったほどです。

それから「起きようと思ったけど、もうちょっと寝ようかな~」みたいな感じで
エアふみふみを始めました。
お腹いっぱい食べて気持ち良く眠っている時にするふみふみ。

ふみふみした後から呼吸の間隔がゆっくりになり始め、5分以上はあったでしょうか…
それからゆっくりと四肢をバンザイする様に伸ばしてから
走り出すように激しく四肢を動かして
ピョーンとどこかに飛び移るみたいな形になって動かなくなりました。


これを痙攣と言うのでしょうか?見たことがないので分かりませんでした。

全く苦しそうではありませんでした。
医学的には脳の神経だとか筋肉だとかの反応なのかもしれませんが
仔猫が遊んでいて楽しすぎて興奮してバンザイして立ち上がってから
全力で駆け出す動き(横になってですが)に見えて…
おかしいかもしれませんが、凄く嬉しそうに見えました。

亡くなる直前は多幸感に包まれるとにゃあこさんのブログや
色んな書籍などでも知りましたが、
本当に幸せそうな最期で
まさに枯れるような身体のどこも汚す事のない姿でした。

すみません長くなってしまいました。

ずっとこの愛猫の最期の様子を誰かに話したかったのです。
穏やかな1日を過ごして楽しそうにさえ見えた姿に感動しました。
息を引き取るまで泣かずに何とか笑って見送りました。

でも数日たつと治療をしてやらなかった罪悪感や後悔と
死因はなんだったのかとか、
どうしてもっと長生きさせたいと強く思わなかったのかとか、


自分のせいで殺してしまったのでは?と言う気持ちがわいてきて…
猫の病気をネットで検索しては末期症状を調べまくり


誰かの猫さんの闘病記を読んでは献身的な内容に落ち込み…思考がグルグル。
でもいつも最後にはあの子の最期を思い出して
あれで良かったんだとフリダシに戻る。そんな毎日でした。

にゃあこ様のブログには
必ず獣医師に相談して下さいとの注意書きがたくさんありますよね。
あの子を看取ってからこちらのブログでそれを見て
頭をぶん殴られたほど落ち込んで本当に反省しました。

猫さんのためでもあり飼い主のためでもあるんだな…と今は思います。

けれどどこかでひとつ別の選択をしていたら、
あんな穏やかな看取りは出来なかったかもしれないとも思います。
私はあの子の幸運と生きる力の強さのおこぼれを貰って
今でも支えてもらっている気がします。

ベリーさんのお手紙でにゃあこさんは
みーちゃんは天寿を全うした幸せな最期だったと言ってくださいました。
私の愛猫にもそう言ってくれる人がいたら嬉しいと思いました。

治療をしない選択というのは本当に辛くて
看取った後も色んな思いがあると思います。
同じ選択をされた方の猫さんの立派な旅立ちや穏やかに過ごして来たお話が
まだまだたくさんあるんではないかと思います。

今回ベリーさんがにゃあこさんにお手紙してくださった事に本当に感謝しています。
愛猫の3回目の命日の直前にこうしてお手紙出来た事ほんとうに幸せです。

長文のお手紙ご容赦ください。
読んで頂きありがとうございました。

虹子

虹子さん、はじめまして。

お手紙を書いてくれてありがとうございます。

虹子さんの猫ちゃんは、生ききった。なんてなんて幸せな子だったんだろう。

大好きな飼い主がいつも側にいて、好きなものを食べ自然に生きられた、生ききったとはこの事で大往生でしたね。

夢心地で幸せな気持ちで旅立っていったのがわかります。最後まで幸せなにゃんこで良かったね。

虹子さんの言うようにこの子の場合は別の選択をしてしまったら穏やかな最期はなかったんじゃないかな。穏やかに逝くのを邪魔しなかった結果なんです。

医学は発達したけれど、延命しすぎて猫たちを苦しめてしまう事も多々あるからです、人間もですけど。

体が食べ物を受け付けないから、吐いたり下痢をするのです、それを無理に止める必要はないと思います。

お薬も高齢猫には負担になります。

延命したら、不健康でも長く生きられるかもしれない。寝たきりになりながらもね…。

その状態は動物にとって、とても不自然な生き方だそうです。

それよりも猫らしく楽しく生きて好きな物を食べて、最期まで安心して暮らせる環境を整えよう!というのが私の猫に対する終末期の考え方です。

死と向きあい生を大切にする看取り。エンジェルタイムという素晴らしい時間を経験できる看取りは、神々しくもあります。ああ、この子と幸せに暮らせたな、幸せだったなと思える時間。

大切に日々丁寧に生きましょうという猫からのメッセージかもしれません。

最期にできることは寄り添うことだけ、医学の力では苦痛を取り除くことができません。でも、この寄り添うことは苦しみを和らげ、最大の良薬となるんですよ。

その子にとって最善の選択をしたとしても後悔するものです。治療をとことんしたとしても後悔はしたはずです。

治療をしない選択は辛かったと思います。でも、その子はそれで良かったんですよ。

ベリーさんのお手紙にもお手紙にも書きましたが、看取ったあとには心のケアが大切だと思いました。何年もしこりとなって、心に残ります。

誰かと話したり文章にまとめてみたりすることで少しずつ前に進めるといいですね。もう、さらに前に進んでいると思いますが。

虹子さんはベリーさんのお手紙を読んで心の整理ができたのですね。こうゆう幸せの連鎖は嬉しく思います。

きっと同じような看取り経験をした人がたくさんいるでしょう。

そうゆう方のお手紙も大歓迎です。

虹子さん、私が思っていたことや考えてたことを読みやすい文章にまとめてくださって、ありがとうございます。

愛猫を亡くした方の励みになるんじゃないかな。本当にありがとう。

令和6年2月19日

ベリーさんから虹子さんへのお手紙

これからも宜しくね

差出人: ベリー
題名: 虹子さんのお手紙を読んで

メッセージ本文:
にゃあこさま

こんにちは。
今回虹子さんのお手紙を読んで、私の手紙が少しでも虹子さんのお力になれた事は本当に嬉しく思います。


愛猫の看取りに関しては誰もが辛く、後悔や混乱が起きるものです。


私もこちらのブログでとても救われたように、愛猫の飼い主さま達が励まし合える場を作ってくださったにゃあこさまには本当に感謝しております。
これからもどうぞよろしくお願いします。

ベリーさんから虹子さんへお手紙いただきました。

掲載させていただきます。

飼い主の皆さんこれからもゆるりねこblogを宜しくお願い致します。

もっともっと勉強して、よりよいサイトにしていきます。

令和6年2月22日

虹子さんから感謝のお手紙

お手紙をくれた皆さんありがとう

差出人: 虹子
題名: ありがとうございます

メッセージ本文:
にゃあこ様

愛猫の3度目の命日を前に温かいお返事をありがとうございました。


時間薬という言葉もありますがこんなに穏やかな気持ちでその日を迎えられたのは
にゃあこ様のブログでの数々のメッセージのお陰だと感謝しています。

またベリーさんもお手紙をありがとうございました。
みーちゃん立派な猫さんでしたね。幸せに旅立てて本当に良かった…。
生ききった姿ですね。

以前にゃあこさんのブログのどこかにあったと思うのですが(違っていたらすみません)
病気の症状よりも老衰が先に進む場合もある…と。


我が家のムーちゃんの場合はそんな感じだったのではないかと思います。


強い病気の症状が出ていたらこの選択は出来なかったと思います。

老衰の様な感じになってきて覚悟した時には
猫の生きる力を邪魔してはいけないといつも思っていました。
それが一番楽に旅立てる方法なんではないかと。

病気をとことん治療して延命したい飼い主様もいれば
高齢になったら自然に任せたいと願っていらっしゃる方も多いと思います。


でも治療をしない選択でどうなったのかを知るブログはとても少ない気がします。

愛猫が旅立った後、
あんなにも立派な最期だったのに胸を張れない自分が一番悔しかった。


けど今ではこちらのブログで紹介して頂いて
同じ気持ちでいる方の参考にしてもらえたら嬉しいと思います。

にゃあこ様ほんとうにありがとうございました。

虹子さんのお手紙を掲載します。

虹子さんがお手紙に書いているように猫ちゃんが高齢だと老衰の方が早くきて見守る選択もありだと私は記事に書きました。

看取りの形はそれぞれだと思いますが自然に任せるとどうなるの?その後のことをブログにまとめています。

虹子さん、愛猫の立派な最期は立派だったんだと胸を張って生きていってください。ブログを読んで、本当にそう思っていただけるなんて嬉しく思います。

愛猫を看取ったけど、もやもやしている方の励みになるお手紙を書いてくれた虹子さん、ありがとうございました。

令和6年2月27日

Twitterでフォローしよう