
FIP(猫伝染性腹膜炎)は不治の病で発症すると、すぐ亡くなってしまいます。
猫と子猫に影響を与える猫コロナウイルスには、主に2つのタイプがあります。
猫腸コロナウイルス
FIPを引き起こすコロナウイルス(猫伝染性腹膜炎ウイルス)
通常の猫腸コロナウイルスは主に腸管にとどまり、腸内で増殖して下痢を引き起こす可能性があります。これは特に、猫社会で他の猫と接触する子猫によく見られます。
FIPを引き起こす猫伝染性腹膜炎ウイルスは、現在のところ猫腸コロナウイルスが突然変異したものと考えられています。比較的病原性の乏しい猫腸コロナウイルスが致死性の高いウイルスに変異する原因については、まだ解明されていません。
引用元:ロイヤルカナン

猫の飼い主が恐れる病気がFIPです。

なぜ突然変異を起こすかわかってないんだよね。
感染対策はもちろんですがブリーダーの間ではとにかく猫にストレスをかけないことを心がけていますがFIPの猫ちゃんが稀にでてしまうんです。
そんな不治の病FIPに効果があるのが新薬Mutian(ムティアン)だと言われています。
ネットやSNSでは
- 新薬ムティアンさえ投与すれば絶対助かる
- 夢のような薬
と話題になっています。

獣医さん教えて!
実際に獣医さんに聞いたお話しをまとめてみました。
- FIPの治療効果は認められているが安全性が確認されていない
- 未知の副作用が確認されていない
- 84日連続投与の使用期間の根拠がわかっていない
- 再発もありえる
とのことでした。
タップできる目次
FIP治療薬ムティアンはなぜ国が認めてくれないの?

この中国からの治療薬ムティアンは日本でもアメリカでも許可されていないのは、まだ安全性が確認されていないからです。
どこの獣医さんも口をそろえて治療薬はまだなくて、新薬は未知のものだと言ってました。
国が認めていない中国の薬を猫ちゃんに飲ませるということは
- 偽物
- 不純物が混じっている
- 腐っている
こともおおいに有り得ますが
そのお薬を飲んで死亡しても自己責任なのです。

ちゃんと販売しているところもありますが…

何が入ってるかわからないよ?
なぜ中国から薬を輸入するの。
偽物が多いよ。
日本はちゃんとした薬が売られていていいね。
と中国人の知り合いが話してました。
個人輸入をしてお金を払ったのにお薬が届かないなどのトラブルも多発しています。
ネットで闇取引されているムティアン

中国企業独自製法で調整したムティアンという商品がインターネットの闇市場で販売されていて誰でも手に入れることができます。


すでに販売元のよくわからない物が出回っているから危険。
値段も高値になるし。
医薬品として承認されるには
- 現在の副作用はないか
- 毒性はないか
- 環境は汚染されないか
- 将来の副作用は
科学的に調べられたデーターがある場合のみで、ムティアンはデーターが揃っていません。
愛猫が死んでしまうかもしれないと思いつめた飼い主なら「いくらでも払うからムティアンでこの子の命を救ってください」と思うはずです。
そんな飼い主の弱みにつけ込んだ詐欺もあるのを忘れないでください。なのでムティアンを使うのなら専門家の獣医師に相談したほうが安全ですよ。
しかし、この物質を中国の企業が独自製法で調整したMUTIANという商品がインターネットの闇市(ブラックマーケット)で販売されています。オリジナルの特許は米国企業が保有しているためMUTIANは非正規の薬剤になりますが、現状では国による法律の違いから規制は難しいようです。問題はこのMUTIANのFIPに対する治療効果が非常に高いということにあります(販売価格も非常に高いです)。その点は上記論文の著者であるPedersen博士もカリフォルニア大学の広報で認めており、治療効果は研究データを反映していると考えて矛盾はないと思われます。
ここで問題提起させていただきたいのは、致死率の高いFIPに対して現状唯一とも言える治療法を実際に選択できるかもしれない環境に置かれた時の飼い主様と獣医師の考え方の相違についてです。
「自分の猫の病が治るのであればその薬を使って欲しい」というのが飼い主様の共通意見であり、その点については少なくとも私も同じ考えです。しかしその一方で、我々は動物医療の専門家としての葛藤も抱えます。それはMUTIANの薬理学的な情報、つまり物質的安定性や体内動態、毒性試験結果、副作用、禁忌等が欠如しているため、製剤の品質的信頼性をどう担保するかという点です。現状ではその非正規薬剤の薬としての信用性を評価し難いため、当院で導入することは難しいと考えています。
「見捨てるのか!自分の子が同じ状況でもそう考えるのか!」というお怒りの声も、「全国にいる多くの治療例が薬剤の有効性と安全性を証明している」とおっしゃる方もいるでしょう。MUTIANの投与を勧める獣医師もいるようです。誤解がないよう申し添えます。ここで私は少なくとも動物医療の専門家の一人としての意見を述べているのであり、現在までにMUTIANで得られている治療効果を否定しているのではありません。科学的に調べられた情報がない薬剤を使用することは獣医師という責任ある立場で安易な判断ができないと私は考える、という意味です。また、闇市場で売買される薬剤には医薬品としての規制が入らないため、今後類似品がいくつも登場すると予想されます(既にいくつか由来不明の類似品が出回っているとも聞きます)。状況に切迫した飼い主様が詐欺まがいの業者に騙されないためには、専門家の意見は適度に入るべきだと思います。
当院では個人で飼い主様がMUTIANを購入・使用されることについて反対することはありません(一般の方が個人の判断で他者に投与を勧める行為には賛同しかねます)。また、「どうぞ勝手にやってください」とも言いませんので、使用を検討したいという方は事前に必ず相談してください。私は獣医師側の意見を尊重してくれる方には私が知り得た情報の全てお教えします。意見は違っても獣医師が目指すものは飼い主様と同じである、ということを信じていただきたいと思います。そしてこのFIP治療薬が早く正規ルートで製品化されることを強く願います。
情報が溢れる現代ではMUTIANの例のように飼い主側が非正規薬剤を使用するという事案が今後増加すると考えられます。社会のニーズに獣医師としてどう対応していくか、その立ち位置を再確認する良い時期なのかもしれません。
https://www.koda-ac.jp/blog/20200401.html
引用元:神田アニマルクリニック
高額なFIP新薬ムティアンで治療する場合の注意点は借金!


個人で猫を飼っている人も同じ気持ちですよね。
私は割り切ることも大切だと思うの。
FIPにかかった保護猫を全力で救いたいと思うし多くの人がお金が足りない場合は救えないことに罪悪感を感じるはず。
FIP新薬ムティアンは高額だけど助けたい気持ちが強すぎて
- 多額の借金をして助けようとする
ので他の保護猫ちゃんを助けられなくなってしまったり、生活が破たんしてしまう心優しい飼い主さんも多いです。

再発もあるんだよ?
猫一匹の命は尊いと思うし私も何回猫を看取っても、その時の悲しみは忘れられません。
猫でも人間でも寿命があって救えない時はどんなにお金をかけても命が助からないことは多々あります。

特に多頭飼いやボランティア団体の場合は一匹の猫ちゃんの医療費に何百万もかかり、経済が破綻して救えたはずの他の健康な猫ちゃんの命が奪われたり不幸になるのはおかしな話しだと思うのです。
新薬ムティアンの副作用はまだわかっていない

新薬ムティアンの副作用など詳しいことはまだわかっておらず、また再発したり他の副作用がでて猫ちゃんが今以上に苦しむことになるかもしれません。
FIPの確定診断はとても難しいので新薬ムティアンで治った例は

と言われています。
ネット上では新薬ムティアンというお薬さえ飲めばFIPが治ると言われていますが投薬したのに亡くなった猫ちゃんや再発する猫ちゃんもいます。
FIPについて詳しいことやFIPの保護猫を救いたいのに救えなくて悩んでいる人は「それでも小さな命を救いたい」というblogを読んでみてね!少しは気が楽になるかもしれませんよ。
クラウドファンディングで治療費を集める

努力しても飼い猫の治療費がない場合はクラウドファンディングで集める方法があるので利用してみてくださいね。
私はクラウドファンディング反対派ではありませんが軽いノリでお金を集めようという流れができるのは嫌だなぁと思います。
猫が亡くなることを受け入れることも飼い主としての義務であり、それが命を預かるということです。

人のお金やし。

と話してた人が実際にいましたよ。
ネット上の世界には動物を助けるという名目で金儲けをする悪い人がいます。
猫が病気じゃないのに嘘をついてクラウドファンディングしている人も増えています。
FIPの治療薬は高額なのでうまくやれば大金が転がりこむので猫に詳しくてパソコンが得意であれば、ねつ造可能だと思います。

調べてもサイトが消えてたりよくわからないケースもあるので注意してほしいですね。
冷静になってほしい

特にあなたが愛護団体の一員であるのならば
感情に流されて、その一匹のFIPになった猫ちゃんに何百万の治療費をかけたらどうなると思いますか。
保護猫運営が崩壊して何十匹の猫さんの命が救えなくなる可能性が将来、高い確率でありえます。
多頭飼い崩壊するケースの原因の一つに「すべての猫を救いたい」優しい心から一匹の猫ちゃんに多額の医療費をかけてしまうことがあります。
他の健康な猫ちゃんが不幸になってしまうので割りきることも大切だと思います。
私が現役ブリーダーの時も、どんなに気を付けてもFIPになる子が稀にいました。


どの子も可愛いから辛い決断でした。
いい子に限って早く亡くなります。
きっと、そう遠くない将来にFIPの新薬ムティアンが適正な価格で治療できるようになるでしょう。
中国側からはっきりしたデーターは提示されていないのがムティアンです。
- 副作用として猫を苦しめることになることがでてくる可能性もありまだ未知のお薬です
それでも治療したい場合はあおぞら動物病院があります。

別料金でオプションとしてFIP治療可能な病院が全国にあります。
ムティアン治療薬を使って自分のお金で猫ちゃんを助けてあげたらいいと思います。
100万あったら沢山の猫ちゃんの命が救えるじゃないですか。冷たい考えかもしれませんが、私は多くの猫ちゃんに幸せになってもらいたいですね。
愛情を注いできた猫さんがFIPになって死んでしまうなんて考えただけでもつらいですが、それも猫の運命。
早く国に承認されてFIPが不治の病と言われない世の中になればいいのですが。


追記:猫だから見捨てるのか?に対して
「お前は親や子供を見捨てることができるのか?猫だから見捨てるのか?」という非難の声がありましたが、私は実の子供に中国で開発された未知のお薬を大切な人に与えることはないです。
- 薬の副作用で苦しめるかもしれない
- 医学的に解明されてない
- お金だけ失って命が助からないかもしれない
人間の例でいうと末期ガンがサプリできれいに治るよと言ってるようなものです。
「抗がん剤が効かないから無許可のお薬をためしてみる」など民間療法と同じ。
- 奇跡の水
- サプリ
- ガンが消える食品
奇跡的に治る人もいるかもしれませんが、それでガンが消えた人は私の周りで見たことがありません。よくわからない物に何百万円もつぎ込み借金だけ残してガンも治らず死んでしまったケースも多いです。
一時的によくなるが再発するケースがほとんどで奇跡は少ないのかなと思いました。
それぐらいFIPは難病なのでムティアン治療をする場合は治ったら奇跡ぐらいに考えておいたほうが無難です。
■追記令和2年12月ゆるりねこblog運営主にゃあこ■