多くの看取りの現場では家族と看取られる側の意見が食い違っているように感じます。
人間も猫も医学の発達とともになんとか生きられる状態を維持する事はできるようになりました。その医療行為が家族のためになるのでしょうか。
終点に向かう人が感じているのは痛さだけではなく
- 息ぐるしさ
- だるさ
- 身の置き所がない苦しさ
感じていて猫も人間と同様だと思っています。
痛みはモルヒネなどで和らげる事はできますがこの肉体以外の精神的な苦しさをとるのは鎮静しかないのです。意識を落として深く眠らせることで「身の置き所がない苦しさ」が消え楽になると言われています。
鎮静
身の置き所のない苦しさってどんな実際はどんな感じなのか健康な人間は経験することができず人生最後の時にしかわからないと思います。
父は最後まで意識があったので実際に聞いてみたら「痛みはないけれど死んだほうがマシなだるさや息苦しさで早く楽になりたい」と言っていました。
亡くなる直前は寝ることのできないほどの苦しみが襲います。
回復できず死にたくなる苦しみを与えてしまうのならば、あの時不要な手術をして延命しなければもっと楽に逝けたであろう父。時に進んだ医学は猫や人間を苦しめる刃になることを改めて実感しました。
父も鎮静で早く眠らせてあげたら余計な苦痛を与えることはなかったと思うんです。
人間なら言葉でしんどさや辛さを伝えることはできますが猫の場合はどうすればいいのでしょうか。
過剰な治療で猫を苦しめていないか考える
猫は物を言わない動物なので私たち飼い主は自分の気持ちを押し付けてしまいがちです。どんな形でも生きていてほしい飼い主のために。これが人間のエゴだと思います。
死の概念のない猫にとって病気は敵の威嚇であり飼い主がよかれと思って
- 治療
- 延命
- 強制給餌
をしたとしても終点に向かっている猫にとって飼い主や獣医師が自分を攻撃する敵になってしまうわけです。
考えれば終末期に向かう人間も同じような傾向があって意識のない状態でも、効果のない苦痛を伴う延命治療はすごい力で拒み、医師や看護婦に敵意を抱くのです。でも医療従事者は生かすことが使命ですから何もしないわけにはいかないのですね。
最後は猫の心に寄り添ってあげる
猫の心の声に耳を傾けていますか。
猫の最期がきたら飼い主はパニックで判断能力がなくなり愛猫がどんな形でも生きててくれればいいと思うものですが、終末期の猫の延命治療はすればするほど猫を苦しめる事になるでしょう。
長年猫と過ごしてきた飼い主なら猫と心のコミュニケーションがとれると思います。猫の意志を尊重してあげるのです。
安楽死も考えてみる
私は猫の生活の質が著しく下がり苦痛が大きい場合は安楽死も視野にいれてもいいと思っています。その時の条件として
- 住み慣れた家で
- 逝く時は猫を一人にしない
- 苦痛がとれない場合
鎮静効果のある麻酔薬を注射して猫が眠りについた時に2度目の注射打たれますが猫は注射を打たれたこともわかりません。致死量の麻酔薬が打たれると猫の心臓がとまり永久の眠りにつきます。
猫を飼う時に治療方針を決めておく
猫が病気になる前に家族全員で話し合い猫を飼う時に先に決めておいたほうがいいですよ。
あと終末期の猫の身体や医学について少し勉強しておいたほうが猫のためになります。
終末期の餓死はつらいの?
間違った情報がネットで流されています。健康な猫にとって餓死は辛いのですが
- 死に向かっているから食べない
- 死に向かっているから水分を摂らない
飢餓状態、脱水症状、酸欠になると意識がもうろうとしてくるので、見た目と裏腹に猫は痛みや苦しみを感じていません。
終末期の猫に栄養、水分を与えるのは拷問で
- 肺に水がたまる
- 痰は水分からできている
- ボロボロになった体に針を刺す
やがて薬も効かなくなり猫は身の置き所のない苦しさで悲鳴をあげることも、抵抗することもできず白い病院の壁を見ながら溺れながら苦しんで亡くなるのです。
何度も言いますが、猫も人間もこの世を去る時に求めることは家族とのふれあいです。この世で一度きりの家族との大切な時間を置き去りにしていませんか。
大好きな飼い主が側にいるだけで猫は幸せな気持ちを持って虹の橋に旅立つことができるのです。