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猫伝染性腹膜炎(FIP)とは?

猫伝染性腹膜炎(FIP)とは?

猫と暮らしていると一度は耳にする「FIP(猫伝染性腹膜炎)」。とても怖い病気ですが、正しい知識を持っておくことで早期発見や予防につながる可能性があります。

FIPは、もともと病原性の弱い「猫コロナウイルス」が体内で変異することで発症します。通常の猫コロナウイルスは腸内にいても大きな害はなく、日本では約90%以上の猫が持っているとも言われています。しかし、まれに体内で変異し、FIPウイルスとなって臓器へ感染を広げてしまうことがあります。

また、保菌している猫の糞便を通じて、経口的に感染するケースもあります。

発症しやすい猫の特徴

FIPを発症しやすい傾向があるのは、以下のような猫です。

  • 新生仔や3歳未満の若い猫
  • 高齢の猫
  • 純血種(ストレスに弱い場合が多いとされる)

一方、壮齢期(およそ3〜6歳)の猫は発症が少なく、感染しても「保菌状態」のまま症状が出ないケースが多いと言われています。ただし、ほかのウイルス感染やストレス、免疫力低下が重なると急激に悪化する可能性があります。

潜伏期間は3週間前後とされ、回復後も保菌が続く場合があります。

FIPの2つのタイプ

FIPには「滲出型(ウェットタイプ)」と「非滲出型(ドライタイプ)」の2種類があり、症状が大きく異なります。

滲出型(ウェットタイプ)

お腹や胸に体液が溜まるタイプで、進行が速いのが特徴です。

  • 発熱
  • 食欲不振
  • 元気がない
  • 嘔吐、脱水
  • 腹部の膨満(腹水)
  • 呼吸困難(口呼吸、胸を広げて苦しそうに呼吸)

数日〜2週間と短い潜伏期間で症状が現れます。

非滲出型(ドライタイプ)

体液は溜まりませんが、内臓や神経、眼に症状が現れます。

  • 性格・行動の変化
  • 後ろ足のふらつき、麻痺
  • てんかん様発作
  • ぶどう膜炎、虹彩炎などの眼症状
  • 黄疸、便秘、嘔吐などの消化器症状

進行はゆっくりで、2週間以上の潜伏期間があるとされます。
また、両方の特徴が出る「中間型」も存在します。

治療について

昔はFIPを完全に治療する方法は確立されていませんでした。そのため、症状を和らげる対症療法や、猫の生活の質(QOL)を保つケアが中心となります。

FIP(猫伝染性腹膜炎)は、かつては「ほぼ助からない」と言われるほど厳しい病気でした。

でも近年、GS-441524などの抗ウイルス薬の登場によって状況は大きく変わっています。現在では治療成功率はおよそ80〜90%とされ、「死の病」から「治療を目指せる病気」へと認識が変わってきました。

ただし
✔ 治癒率は100%ではないこと
✔ 未承認薬を使用するケースがあること
✔ 治療期間が長く、費用や副作用の管理も必要なこと

こうした現実もきちんと理解した上で、信頼できる獣医師と十分に相談することが不可欠です。

治療の目標は「完治」というよりも、まずは寛解(症状が落ち着き、検査数値が安定した状態)を目指すこと
再発率はおよそ10〜15%といわれていますが、再治療によって回復するケースも少なくありません。

FIPは、もう“絶望だけの病気”ではありません。
けれど、希望と同時に冷静な判断も必要な病気です。
正しい情報をもとに、一つひとつ選択していくことが大切です。

いくらかかる?

GS-441524を用いたFIP治療の費用は、猫の体重・症状の重さ・使用する薬剤のブランドや投与方法によって大きく変わります。

一般的には、総額で数十万円〜100万円以上かかるケースが多いとされています。

■ 治療費の目安

総額:約50万円〜150万円前後

この中には、以下の費用が含まれます。

  • 抗ウイルス薬(GS-441524など)の薬剤費
  • 初診料・再診料
  • 血液検査や超音波検査などの各種検査費
  • 入院費(必要な場合)

特に注意したいのは、体重が重い猫ほど薬の必要量が増えるという点です。
また、ウイルスが脳や神経に影響を及ぼす「神経型FIP」の場合は、通常より高用量が必要になるため、費用がさらに高額になる傾向があります。

治療を始める前に、想定される総額や支払い方法について、必ず獣医師と十分に相談することが大切です。
金額は決して小さくありませんが、事前に見通しを立てておくことで、治療中の不安を減らすことにつながります。

予防できること

ワクチンが存在しないため、完全な予防は難しい病気です。それでも、発症リスクを下げるためにできることはあります。

  • ストレスの少ない環境を整える
  • トイレや生活空間を清潔に保つ
  • 多頭飼育の場合は特に消毒をこまめに行う
  • 異変があれば早めに動物病院へ相談する

猫コロナウイルスは多くの猫が持っているため、「ウイルスに触れさせない」よりも、「変異させない=ストレスを減らす」ことが予防の基本です。

まとめ

FIPは非常に難しい病気ですが、飼い主の知識と観察が早期発見につながります。「いつもと違う」と感じることがあれば、迷わず動物病院へ相談しましょう。

猫との毎日が、これからも穏やかで安心できる時間になりますように。

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