猫の肝リピドーシス(脂肪肝)ってどんな病気?食べないだけで命に関わることがある話

こんにちは、にゃあこです。
前の記事で「肝リピドーシス」って言葉を出したんですが、ここだけは本当に大事なので、別記事にしてしっかり書くことにしました。
読んでほしいのは、こんな状況の人です。
「数日食べないくらいで、そんな大ごと?」って思うかもしれないんですが、猫はこれで本当に命を落とすことがあるんです。順番に書いていきますね。
肝リピドーシスって、ひと言でいうと

「食べない状態が続いたせいで、肝臓に脂肪がたまってしまう病気」です。
英語では hepatic lipidosis(ヘパティック・リピドーシス)。日本語では「脂肪肝」と呼ばれます。
猫に特有の病気で、猫の肝臓の病気のなかでいちばん多いものなんです。
ちょっと待って、人間の脂肪肝とちがうの? と思うかもしれません。ちがいます。人間の脂肪肝は、食べすぎ・飲みすぎ・生活習慣でゆっくり進むもの。
猫の肝リピドーシスは、「食べない」ことが引き金になって、数日〜数週間で急に進むのが特徴です。ここが決定的に違うところ。
なぜ、食べないと肝臓に脂肪がたまるの?

しくみを順番に見ていきましょう。
という、悪循環にはまってしまうわけです。
ポイントは「一気に」「処理しきれず」のところ。猫はもともと、この脂肪の処理が苦手な動物なんです。
だから犬や人間よりも、絶食のダメージが 肝臓に直撃しやすい。猫が何日も食べないと危ないよ、と言われるのはこのためです。
どんなときに起こるの? 2つのタイプ

1. ほかの病気が原因で起こるタイプ(二次性)
こっちのほうがずっと多いです。9割以上の猫で、食欲が落ちた背景に別の病気があると言われています。
代表的ないくつかの原因:
つまり、「肝リピドーシスになった」というより「なにか別の理由で食べられなくなって、その結果として肝リピドーシスになってしまった」という見方のほうが正確なんです。だから治療では、脂肪肝そのものと同時に、元の原因を探すことがすごく大事になります。
2. 原因が見つからないタイプ(特発性)
はっきりした原因が見つからないまま食欲が落ちて、脂肪肝になってしまうケースもあります。
どんな猫がなりやすいの?

「うちの子ちょっとぽっちゃりさんなんだよね」という子は、特に注意して見てあげてください。
症状:こんなサインが出ます

いちばん大事なのは「食欲不振」と「体重減少」
この2つがはっきりない場合、肝リピドーシスはあまり疑われません。それくらい、この2つが軸になります。
ほかの症状
黄疸とよだれは、肝リピドーシスの特徴的なサインとして挙げられることが多いです。気づいたら、その日のうちに受診を考えてください。
どうやって診断するの?

飼い主さんが「これ、脂肪肝かも」と自己判断することはできません。病院ではこういう流れで調べます。
大事なのは、「特発性」なのか「ほかの病気による二次性」なのかを見分けること。ここで治療方針も予後も変わってくるからです。
治療はどうするの?

肝リピドーシスの治療の核心は、ずばりこれです。
栄養を、しっかり入れること。
脂肪肝は「食べなかったこと」で起きているので、原理的には「食べさせること」で肝臓を回復させたい。でも、当の猫は食欲がない。吐いてしまう子も多い。
なので実際の治療では、次のような方法が取られます。
「チューブを入れる」と聞くとびっくりするかもしれませんが、これは猫に無理に食べさせるつらさを避けて、確実に栄養を届けるための、わりと標準的な方法です。獣医さんとよく相談して決めてください。
予後(これからどうなるか)

ここが希望でもあるのですが、
早期に見つけて、きちんと治療すれば、予後は良好です。
一方で、治療が遅れたり、適切な治療が行われなかった場合の致死率は高いとされています。これも、最初に書いた「2日・3日待つのがいちばん危ない」にそのままつながります。
回復した後も、再発しないために食事管理を続けることが大切です。背景の病気の管理、体重のコントロール、そして何より「食べられない状態を長引かせない」こと。
予防のためにできること

肝リピドーシスは、予防できる余地がある病気です。ポイントは3つ。
- 太らせすぎない — 肥満はいちばんのリスク要因です
- 食べない状態を放置しない — 24時間を目安に、シニア猫ならもっと早く相談を
- 食欲が落ちたら、すぐ原因を探す — 歯、膵炎、腸、腎臓など。隠れた病気の早期発見が、脂肪肝の予防にもなります
体重を定期的に測っておくのもおすすめです。1ヶ月で5%以上減ったら(5kgの子なら250g)要注意。数字で見えると、変化に気づけます。
まとめ

いちばん伝えたいのは、「食べない日が2日、3日続いてる」という状態は、様子見の域を超えているかもしれない、ということです。
うちの子のときは、たまたま歯が原因だったので大事には至りませんでした。でも、もし太り気味の子で、別の理由で食べなくなっていたら……と思うと、ちょっとゾッとします。
「まだ大丈夫かな」じゃなくて、「もう病院行っておこう」。これが猫を守ります。
にゃあこでした。
この記事について
記載した内容は、獣医学雑誌の肝リピドーシス臨床レビュー(Journal of Feline Medicine and Surgery)、VCA動物病院の解説、国内外の動物病院・ペット保険各社の獣医師監修コラムなどを参考にしています。症状の出方や進行の速さは子によって大きく違うので、受診の判断はかかりつけの獣医さんに相談してくださいね。



