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猫の肝リピドーシス(脂肪肝)ってどんな病気?食べないだけで命に関わることがある話

猫の肝リピドーシス(脂肪肝)ってどんな病気?食べないだけで命に関わることがある話

こんにちは、にゃあこです。

前の記事で「肝リピドーシス」って言葉を出したんですが、ここだけは本当に大事なので、別記事にしてしっかり書くことにしました。

読んでほしいのは、こんな状況の人です。

  • 老猫が2日くらい食べてない
  • 太り気味の子が急に食欲をなくした
  • 病院で「脂肪肝」と言われた
  • 目や歯茎が黄色い気がする

「数日食べないくらいで、そんな大ごと?」って思うかもしれないんですが、猫はこれで本当に命を落とすことがあるんです。順番に書いていきますね。

肝リピドーシスって、ひと言でいうと

「食べない状態が続いたせいで、肝臓に脂肪がたまってしまう病気」です。

英語では hepatic lipidosis(ヘパティック・リピドーシス)。日本語では「脂肪肝」と呼ばれます。

猫に特有の病気で、猫の肝臓の病気のなかでいちばん多いものなんです。

ちょっと待って、人間の脂肪肝とちがうの? と思うかもしれません。ちがいます。人間の脂肪肝は、食べすぎ・飲みすぎ・生活習慣でゆっくり進むもの。

猫の肝リピドーシスは、「食べない」ことが引き金になって、数日〜数週間で急に進むのが特徴です。ここが決定的に違うところ。

なぜ、食べないと肝臓に脂肪がたまるの?

しくみを順番に見ていきましょう。

  1. 猫が食べなくなる(エネルギー不足になる)
  2. 体が「じゃあ、蓄えてある脂肪を使おう」とスイッチを切り替える
  3. 脂肪組織から、大量の脂肪酸が一気に肝臓へ流れ込む
  4. 肝臓が処理しきれず、脂肪が肝臓の細胞の中や周りにたまっていく
  5. 肝臓の働きがさらに落ちる → ますます食べられなくなる

という、悪循環にはまってしまうわけです。

ポイントは「一気に」「処理しきれず」のところ。猫はもともと、この脂肪の処理が苦手な動物なんです。

だから犬や人間よりも、絶食のダメージが 肝臓に直撃しやすい。猫が何日も食べないと危ないよ、と言われるのはこのためです。

どんなときに起こるの? 2つのタイプ

1. ほかの病気が原因で起こるタイプ(二次性)

こっちのほうがずっと多いです。9割以上の猫で、食欲が落ちた背景に別の病気があると言われています。

代表的ないくつかの原因:

  • 膵炎(すいえん)
  • 胆管炎
  • 慢性の腸の病気(炎症性腸疾患など)
  • 腎臓病
  • 糖尿病
  • 腫瘍(がん)
  • 歯周病や口内炎などの口の中の病気
  • 手術・入院・引っ越しなどのストレス

つまり、「肝リピドーシスになった」というより「なにか別の理由で食べられなくなって、その結果として肝リピドーシスになってしまった」という見方のほうが正確なんです。だから治療では、脂肪肝そのものと同時に、元の原因を探すことがすごく大事になります。

2. 原因が見つからないタイプ(特発性)

はっきりした原因が見つからないまま食欲が落ちて、脂肪肝になってしまうケースもあります。

どんな猫がなりやすいの?

  • 太り気味・肥満の子 — いちばん大きなリスク要因です
  • 中年齢〜高齢の子 — 報告されている平均年齢は7歳前後
  • 数日〜数週間、食べられなかった子 — 評価までの絶食期間が2〜7日という例もあるほど、短期間で発症します
  • 避妊去勢の有無や性別・品種による差は、はっきりしないと言われています

「うちの子ちょっとぽっちゃりさんなんだよね」という子は、特に注意して見てあげてください。

症状:こんなサインが出ます

いちばん大事なのは「食欲不振」と「体重減少」

この2つがはっきりない場合、肝リピドーシスはあまり疑われません。それくらい、この2つが軸になります。

ほかの症状

  • 黄疸 — 目の白い部分、歯茎、耳の内側が黄色っぽくなる
  • よだれ(流涎) — 気持ち悪さのサイン
  • 嘔吐、下痢
  • 元気消失、ぐったり
  • 体重が急に落ちる(発症した猫は体重の25%以上減っていることも珍しくないと言われます)

黄疸とよだれは、肝リピドーシスの特徴的なサインとして挙げられることが多いです。気づいたら、その日のうちに受診を考えてください。

どうやって診断するの?

飼い主さんが「これ、脂肪肝かも」と自己判断することはできません。病院ではこういう流れで調べます。

  • 血液検査(肝臓の数値、胆道系の数値、栄養状態など)
  • 超音波検査(肝臓の様子を見る。脂肪肝では肝臓が大きくなっていたり、輝度が上がって見えたりします)
  • 黄疸の確認
  • 背景にある病気を探す検査(膵炎、腸の病気、腎臓、甲状腺など)

大事なのは、「特発性」なのか「ほかの病気による二次性」なのかを見分けること。ここで治療方針も予後も変わってくるからです。

治療はどうするの?

肝リピドーシスの治療の核心は、ずばりこれです。

栄養を、しっかり入れること。

脂肪肝は「食べなかったこと」で起きているので、原理的には「食べさせること」で肝臓を回復させたい。でも、当の猫は食欲がない。吐いてしまう子も多い。

なので実際の治療では、次のような方法が取られます。

  • 入院して点滴(輸液) — 脱水や電解質のバランスを整える
  • 栄養チューブの設置 — 鼻チューブ、食道チューブ、胃瘻チューブなど。多くの猫で食欲不振があるため、チューブから栄養を補給する方法がよく選ばれます
  • 吐き気を抑える薬、肝臓を助ける薬
  • 背景の病気に対する治療 — 膵炎、腸の病気、感染症などそれぞれに応じて
  • 進行したケースでは、体脂肪の動員を止める目的でインスリン点滴などが行われることもあります

「チューブを入れる」と聞くとびっくりするかもしれませんが、これは猫に無理に食べさせるつらさを避けて、確実に栄養を届けるための、わりと標準的な方法です。獣医さんとよく相談して決めてください。

予後(これからどうなるか)

ここが希望でもあるのですが、

早期に見つけて、きちんと治療すれば、予後は良好です。

一方で、治療が遅れたり、適切な治療が行われなかった場合の致死率は高いとされています。これも、最初に書いた「2日・3日待つのがいちばん危ない」にそのままつながります。

回復した後も、再発しないために食事管理を続けることが大切です。背景の病気の管理、体重のコントロール、そして何より「食べられない状態を長引かせない」こと。

予防のためにできること

肝リピドーシスは、予防できる余地がある病気です。ポイントは3つ。

  1. 太らせすぎない — 肥満はいちばんのリスク要因です
  2. 食べない状態を放置しない — 24時間を目安に、シニア猫ならもっと早く相談を
  3. 食欲が落ちたら、すぐ原因を探す — 歯、膵炎、腸、腎臓など。隠れた病気の早期発見が、脂肪肝の予防にもなります

体重を定期的に測っておくのもおすすめです。1ヶ月で5%以上減ったら(5kgの子なら250g)要注意。数字で見えると、変化に気づけます。

まとめ

  • 肝リピドーシスは、猫が食べないことが引き金になる肝臓の病気
  • 3〜4日続けて食べないと発症リスクが上がる。太り気味の子は特に危ない
  • 9割以上に背景の病気がある
  • サインは食欲不振・体重減少・黄疸・よだれ
  • 治療の中心は栄養をしっかり入れること。チューブを使うことも多い
  • 早期発見・早期治療なら予後は良好。 遅れると命に関わる

いちばん伝えたいのは、「食べない日が2日、3日続いてる」という状態は、様子見の域を超えているかもしれない、ということです。

うちの子のときは、たまたま歯が原因だったので大事には至りませんでした。でも、もし太り気味の子で、別の理由で食べなくなっていたら……と思うと、ちょっとゾッとします。

「まだ大丈夫かな」じゃなくて、「もう病院行っておこう」。これが猫を守ります。

にゃあこでした。

この記事について

記載した内容は、獣医学雑誌の肝リピドーシス臨床レビュー(Journal of Feline Medicine and Surgery)、VCA動物病院の解説、国内外の動物病院・ペット保険各社の獣医師監修コラムなどを参考にしています。症状の出方や進行の速さは子によって大きく違うので、受診の判断はかかりつけの獣医さんに相談してくださいね。

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